「いらっしゃいませ」と君が言ったから四月二日はクソ野郎記念日。
上田くんに落ちた2019年の冬、KAT-TUNのFCに入会した。
それから月日が経ち、初めての現場は忘れもしない2020年10月10日。梅田芸術劇場でのEndless SHOCK -Eternal-だった。初めて目の前で本物の上田くんを目にするのかと思うと、その緊張から胃が何も受け付けず、その日は一日中アクエリアスだけで過ごしたのだった。
そんなことを思い出しながら、仙台行きの新幹線に飛び乗った。
ついに、この日がやってきた。
今日もまた、あの時と同じだ。何も食べられそうにない。
どれだけデリケートな胃なんだよと自分自身に呆れながらも、仕方なく近くのコンビニでゼリー飲料とお茶を買った。
この一日だけで、黒いライダースを着た人をいったい何人見たのだろうと思った。
東京からはるばるやってきた宮城にあるセキスイハイムスーパーアリーナでは、今まで自分が他グループの会場で見かけてきたようなパステルカラーのドレスを着た人も、全身原色自担カラーでまとめた人も見かけず、
その代わりにレザーのスカートにブーツ、背中に刺繍の入った特攻服、全身黒ずくめの人で埋め尽くされていて、自担カラーはあくまでもさり気なくという人がほとんどだったような気がする。
まあとにかくカッコよくて強そうな女性で溢れかえったその会場で、NANA中毒と言って良いほどNANAの愛読者だったわたしは、
えっNANAじゃん……NANAの世界だよ…ブラストのライブ会場かここは………。
と思ってしまったわけです。
それに実際、上田くんはブラストの某メンバーにそっくりだと、わたしは密かに思っている。
ほら……上田くん、完全にシンちゃんですよね…。(しかも未成年の時と成人した時の両方とも再現できちゃっているという完璧っぷり)
NANAに出てくる男性キャラはたくさんいますが、いくつになっても若い頃から変わらない美貌、スタイル抜群、どこかミステリアスなのに甘え上手でかわいいシンちゃんが、わたしは一番好きです。
それに上田くん、ヴィヴィアンのネックレスよく付けてたよね♡(シンちゃんはヴィヴィアンのオーブライターだったけどそこはご愛嬌ということで)
わたしもハチになって、上田くんから “ママ” って呼ばれたい。
やっぱりここは、BLACK STONESのライブ会場で間違いないようです。(※違いますKAT-TUNです)
序盤から大きく話が逸れてしまいましたが、本当にパブリックイメージのままだ…と、初めてのKAT-TUNのライブ会場で衝撃を受けたのを今でも覚えている。
ド派手な演出に目がないわたしが、ジャニヲタになった当初から夢見ていたKAT-TUNのライブ。
燃え上がる炎、天井に届きそうなほど高く噴き出す水、そして会場を操るかのように激しく動き出すレーザー＿＿＿＿＿＿＿＿＿。
今まで何度もDVDで見てきたあの夢のような空間に、自分も今日足を踏み入れることが出来るなんて、これ以上幸せなことは無い。
※上田くんに出逢い恋に落ちるまでのお話と、カツン担になる前からKAT-TUNのライブに行くことが夢だったお話は以前こちらに記録しています。
チケットを発券し会場に入ると、すぐに指定された席を探した。
この日わたしはスタンド席でステージからはそこそこの距離があったはずなのだが、普段からドームに入る機会がほとんどでアリーナクラスの会場に入ったのは2017年が最後だった自分には、近すぎると感じられるくらいだった。
この狭い会場なら、どんな席にいてもあの火薬の香りを感じられるのではないかと思うと、胸が踊った。
あの独特の香りで、早く噎せたいと思った。
開演数分前、自分の隣に座るフォロワーの中丸担に
「わたし今回は泣かない気がするなあ、1度配信で今回のライブ全体を見ちゃってるし心に余裕があるかも……いつもなら絶対泣いちゃうんだけどね…」
と、毎年キスマイのツアーに行った際必ず泣いてしまっていることや、SHOCKのオープニングで浮かび上がった “TATSUYA UEDA” の文字を見ただけで梅田芸術劇場で号泣したことなどを呑気に話した。
会場の入口が閉まり、扉に黒い幕が下りる。
照明が消えた途端、6色に光るペンライトの海に溺れた。
オープニング映像が流れ始めた音が聞こえてすぐにモニターに目を移したのに、涙で視界が滲んでよく見えなかった。
なぜ、さっきあんなことを言ってしまったのだろうと思った。
なぜ、予想できなかったのだろうと思った。
いくら歓声を出せないとはいえ、通常通りのライブとは違うとはいえ、自分がこの光景を最後に見たのは世界が今のように変わり果ててしまうとは予想もしていなかった2019年の夏、キスマイのFREE HUGS!ツアーで京セラドームに入った時だった。
この時まだ上田担じゃなかったわたしは、来年もきっと玉森くんに会えると、来年はどんなツアーになるのだろうと、そんなことばかり考えていたような気がする。その年、ツアーが通常通りに開催されないなんて思ってもみずに。
友達にも会えなくなり家から出ることすらままならなくなった日常、少しずつ良い方向に傾き始めツアーが決まったかと思えばその度に目にしてきた中止発表、わたしが大好きだったライブは全て配信へと変わってしまった。
何度耳にしたか分からないあのメロディーが脳内で流れ始める。
ゴツめのサングラスで前髪をかきあげ、黒とゴールドの如何にも強そうな衣装に身を包み、手首どころか腕ごと洗う素振りをする、まるで敵に殴りこみに行く前の準備体操をしているみたいなあの上田くんがすぐに頭に浮かんだ。
久しぶりに溺れたそのペンライトの海の中で、何もかもが思い通りにいかなくなったこの1年の出来事が、一瞬にして脳内を駆け巡った。
あの2019年の夏が、一面ペンライトで埋まった京セラドームのあの客席が、なんだかすごく昔のことのように感じられた。
さすがに込み上げてくるものがあった。
『てめえ数分前に自分が何言ったのか忘れたのか！？！？何が “心に余裕” だよ！！！！！この俺がまだ登場もしてねーのに泣いてんじゃねえよ！！！！！』
もし上田くんがあのわたしの戯言を聞いていたとしたら、きっとこんなふうに怒りながら笑い飛ばしてくれることでしょう。あのヤンチャかわいい笑顔で。
上田くんは本当にやさしいひとだから、こんなことでマジギレしたりはしない。
でも、こうは言われてしまうと思う。
浅はかかて！！！！！！
上田くんはトップバッターでステージに登場してくる。
これ以上泣いていてはせっかくの登場を鮮明に見ることができないと思って、急いで涙を拭った。
ゴツいサングラスをかけたまま吸っていた煙草を投げ捨て、積み上げられたブロックでできた壁を蹴り飛ばす上田くんが、会場のモニターに映った。
その途端、ステージ上にあるブロック壁のセットが崩れ、ファーの付いたマントに命を宿らせた上田くんが姿を現した。
配信でここまでの流れは頭に入れていたはずなのに、やっぱり画面で見るのと生で見るのとは大違いで、カッコよすぎて気絶しそうになったのを覚えている。
その後すぐに海賊船の上から中丸くんが、ステージ上部から噴き出すスモークの中から亀梨くんが派手に登場した。
ステージに勢い良く火柱が並び、いよいよ本当にKAT-TUNのライブが始まるんだと思った。
彼らのファンになる前から、何度も耳にしてきた、
あのイントロが、流れ出す＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。
ギリギリでいつも生きていたいから
さぁ 思いっきりブチ破ろう
リアルを手に入れるんだ
角材を握った右手をゆっくりと持ち上げ、手首を捻り、そのまままたゆっくりと下ろす。
6色に光るその海が、同じタイミングで大きく波打った。
いるァッしゃいませクソ野郎共ォォォォォォォ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！KAT-TUN15周年ツアーのスタートだァァァァァァァ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！派手に盛大にParrrrrrrrrrrrtyしようぜェェェェェェェェ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！
彼のその叫びを聞いた途端、さっき拭ったばかりの涙がまた溢れてきて、視界が曇った。
ずっと、ずっと聞きたかった言葉。
上田くんに落ちたあの日から、待ち望んでいた言葉。
“お前らみたいなもん” “雑兵共”
上田くんがJohnny’s webで連載している龍組で、今まで何度もそう呼ばれてきた。
もちろん “クソ野郎共” と呼ばれたことだってある。
でも今日初めて目の前でそう呼ばれて、なんだかやっと本物のクソ野郎共の一員になれた気がした。
『上田くんにクソ野郎共って呼ばれるのが夢だった。』
こんな台詞を聞いたら、何言ってるんだこの女はと笑う人はたくさんいるだろう。
でも、誰に笑われてもいい。
今日、自分の夢がひとつ叶ったのだから。
2021年4月2日
お前ら下ッッッッッ手くそだなァ！！！！！！！！
上田くんに、また怒られた。
ソロ曲の “ヤンキー片想い中” の途中で急遽知らされた会場のウェーブは綺麗に揃うはずもなくて、グダグダだった。
事前に何も知らせてくれなかったのに、急にウェーブをやれと言われてもできるはずがないのに、上田くんは悪戯っぽく笑ってわたしたちにそう言い放った。
本当に理不尽だなあと思ったけど、今日は特別に、許してあげる。
なぜなら今日は記念日だから。
わたしをクソ野郎にしてくれて、本当にありがとう。
ずっと嫌いだった上田竜也くんのファンになりました。
落ちた。落ちてしまった。
“この人だけは絶対好きになれない、なるはずがない。”
今までずっとそう思っていた彼に。上田竜也くんに。
自分がいちばん、その事実を受け入れるのに時間がかかった。
当たり前だ。
何故ならわたしは、テレビで上田くんを見かける度に
やっぱりKAT-TUNの上田だけは好きになれね〜〜〜〜〜！！！！！！！！！！
などとほざいていたのである。
そんなわたしがどうして上田くんを好きになったのか、何のきっかけで沼に落ちることになったのか、すべて記録しておこうと思う。
アイドルの沼落ちの際きっかけとなるものといえば、偶然テレビで見たバラエティー番組での活躍が面白かったから、友人に勧められたから、音楽番組のパフォーマンス姿に惚れたから……など様々な理由があると思うが、わたしはこのどれにも当てはまらない形で上田くんに落ちた。
何を隠そう、わたしはKis-My-Ft2 玉森裕太くんのヲタクをしていた。
玉森くんは、今までジャニーズ嫌いだったわたしが初めて恋をしたジャニーズであり、自分の人生を大きく変えてくれた人といっても過言ではない。
日常で辛いことや悲しいことが起きた時、いつも玉森くんはわたしの心の支えとして傍にいてくれて、もちろん高校受験も大学受験も玉森くんと一緒に乗り越えてきた。
玉森くんのヲタクを初めてからというもの、当時バイト禁止の高校に通っていながらも、学校の目を盗んで必死に貯めた自分の全財産をほとんど玉森くんに費やしてきた。
定期的に発売されるCDやDVDはもちろん、毎年のツアーや玉森くんが座長を務める舞台には必ず足を運び、玉森くんが出演するドラマやラジオ、映画なんかも全てチェックしてきた。
仲の良いジャニヲタの友人はたくさんいたため「◯◯くんのグループの新曲本当にカッコいいから見てよ！」「今度◯◯くんがドラマやるから！」などと言われることも多く、他Gのパフォーマンスやライブ映像、その他出演番組も少なからず見てきたが、わたしの中で玉森くんを超えるタレントは1人もおらず、“担降り” “掛け持ち” などのジャニヲタ専門用語とは程遠いヲタクをしていた。
それほど玉森くんにのめり込んでいた。
そして2019年の夏、俳優としても大活躍する玉森くんは10月から始まる日曜劇場『グランメゾン東京』に “平古祥平” 役として出演することが決まった。更にParaviでは、ドラマの番外編として玉森くんが主演を務める『グラグラメゾン♥︎東京〜平古祥平の揺れる思い〜』が配信されることが決まり、わたしは本当に浮かれていた。
ドラマの放送がスタートしてからはすぐParaviに会員登録し、本編でも番外編でも玉森くんを堪能できるという最高な日曜日を送っていた。
だが、玉森くんのためにParaviに会員登録したことこそが、上田くんの沼への入り口だった。
常に高視聴率を獲得し、世間でも大人気だった『グランメゾン東京』も最終回を迎え、番外編も全て見終わろうとしていたわたしは、見事に祥平ロスに陥っていた。
なんとか気を紛らわそうとしたが、もう玉森くんが演じる “平古祥平” を見られなくなるかと思うと寂しくて、ドラマが終わる少し前からParaviでほぼ毎日玉森くんの演技を見ていた。
そして事件は突然に起こった。
2019年12月28日 0時頃
この日もわたしは玉森くんを見ようとParaviのトップページを開いていた。そのとき、おすすめの作品として目に飛び込んできたのが
『KAT-TUNの世界一タメになる旅!＋』
だった。
特にKAT-TUNに思い入れもなかったし、自分の友人にKAT-TUNのファンは1人もいなかったため、テレビでのパフォーマンスやドラマ等をおすすめされることもなかった。
だから、
ふ〜ん、KAT-TUNも冠番組やってんのか。旅ってどこに行ってんの？？まだ眠くないし睡魔くるまで時間潰そ〜〜。
みたいな、本当にこんな適当な気持ちで「#1 番組復活〜KAT-TUNと天の声がファンにお願いin東京ドーム」をクリックし、わたしは自分が眠くなるまでの暇つぶしでこの番組を見始めた。
そのまま続けて「#2 台湾危険生物捕獲の旅」「#3 台湾夜市の旅」と見進めていき、「#4 日本で味わえない台湾の旅」を見終わる頃、気づいた。
完全にナメきっていた。上田竜也のことを。
嵐の櫻井くん命のただのクソヤンキーだとしか思っていなかった。
わたしがそこで見た上田くんは、今までわたしが見てきた上田くんではなかった。
本当に度肝を抜かれた。
そこにいたのは、その見た目からは想像もできないほどものすごく真面目で、優しい心の持ち主で、オラオラしているどころか意外とシャイで、かわいい笑顔で笑う上田くんだった。
スタッフの無茶ぶりにも全力で対応し、番組が面白くなるよう一生懸命に体を張っている上田くんがいたのだ。
は？？？？これ本当にKAT-TUNの上田竜也？？？？あの、上田竜也？？？？？？嘘だろ？？？？？？？？
本当に驚きが隠せなかった。
あれほど自分が普段からボロクソに非難していた上田くんが、こんな人間だと思っていなかったのだ。
身を乗り出してパソコンの画面をじっと見つめ、そこからは1話見終わるとまた次の1話を……と止まらなくなり、当初の目的であった睡魔がくるまでの暇つぶしではなくなっていた。
時計を見るといつの間にか時刻は朝の4時になろうとしていて、自分がまさかここまで上田くんに惹きつけられるなんて思っておらず、1人で笑ってしまった。
次の日もわたしはひたすらにタメ旅＋を見ていた。友人か誰かに、「12月29日何してた？」と聞かれても「タメ旅＋を見てた」としか答えられないほどに、一日中タメ旅＋を見ていた。
その日の午後、地上波でタメ旅SPが放送されるという情報を得たわたしはすぐに録画予約をし、夜10時半になるのをまだかまだかと心待ちにしていた。まあ待つ間もParaviでタメ旅＋を見ていたが。
数日前まで上田くんのことをボロクソに非難していた人間の行動とは到底思えないが、事実だから仕方がない。
そして待ちに待ったタメ旅SP、上田くんは平野ノラとタイのバンコクを満喫していた。上田くんを気になりだしたばかりの新参者がこんなことを言ったら怒られるかもしれないが、移動中の車内での平野ノラとの距離感、マッサージ施設での平野ノラとのやりとり、鬼に捕まらなかった時の少年のようなかわいい喜び方、ジェットコースターに乗って叫んでいる姿、ご飯を口いっぱいに頬張る姿……その何もかもが、なんだかすごくわたしにとって恋に見えた。上田くんとまあまあな歳の差があるなんて信じたくないほどに、そう見えた。
そしてこれは後にParaviでタメ旅＋の続きを見ながら次第にわかったことだが、上田くんは女の子に対してすごく優しい。しかも、年齢関係なく全ての女の子に同じように優しい。たぶん、タメ旅SPで平野ノラと行動を共にしていたのを見て、自分でも自然とそういう優しい雰囲気を感じとったのだと思う。だから、上田くんがすごく “恋に見えた” のだと思う。
そして次の日の夜、玉森くんのヲタク用アカウントでこんなことをツイートした。
せっかくParavi登録してるんだからもっとほかの番組もみてみよ〜〜という軽い気持ちで昨夜からかつんのタメ旅見始めたのだけど、上田くんのことほんとにすきになりそう
— の (@nn_317) December 29, 2019
だがこの時のわたしはまだ上田くんのファンになる覚悟みたいなものがなく、玉森くんに対する罪悪感でいっぱいだった。今までずっと玉森くんだけを好きで、こんなにも一途に応援してきたからこそ、掛け持ちをする勇気もなかった。
しかもその人物が自分があれほど嫌っていた上田竜也なのだから尚更だ。
定期的に友人からいろんなグループのタレントを勧められ、好感を抱いて好きになったジャニーズも数名いたが、それでも誰一人として玉森くんを超えてきた人はいなかったのに。
なのに、なんでわたしは自分がずっと嫌っていた人をわざわざ朝の4時まで見てんの？？？？？
なんで嫌いだったはずの上田竜也にこんなにも惹かれてんの？？？？？
お前の担当はKis-My-Ft2 玉森裕太だろ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！
わたしの心の中はこんな気持ちで埋め尽くされていた。
玉森くんと同じくらい好きになる人が現れるなんて、これっぽっちも思っていなかった。
そしてジャニヲタにとって年に一度の最大の祭であるカウコンで、わたしは初めて上田くんがアイドルとして歌う姿をちゃんと見た。アイドルをしている上田くんはすごく輝いて見えて、衣装もどタイプにカッコよくて、玉森くんのヲタクのはずなのに2019年最後にツイートしたことは上田くんのことになってしまった。
さすがにウケる。
かつんの衣装カッコいい……上田くんカッコいい……どうしよ…
— の (@nn_317) December 31, 2019
新年を迎えてからも、相変わらずタメ旅＋にどっぷり浸かっていたわたしは、上田くんを見ながらなんだか懐かしい気持ちになっていた。自分の知らない上田くんを見る度に身体中に流れるどきどき感、なんとも言えないワクワク感……どこかで体験したことのあるこの不思議な感覚。
そう、4年前わたしが玉森くんの沼に落ちる直前の、“あの”感覚だった。
その事実に気づいてからは、それまでの葛藤が嘘だったかのように諦めがついた。
この感覚、感情を制御しようとしたところで、不可抗力であることは自分がいちばんよくわかっている。この際玉森くんに罪悪感があるなんて言ってられない、だったら2人ともできる限り応援しよう、そう感じてやっと掛け持ちをする決心がついた。
そして掛け持ちをする決心がついてからというもの、上田くんを応援するにあたって新しいアカウントを作った。
もうこれ以上“上田くんがすき”という感情をごまかせなくなって、とうとうアカウントつくっちゃった……… https://t.co/FELPB5KuV0
— 愛🐻 (@aidayo__) January 3, 2020
わたしがどうして上田くんの沼に突き落とされたかって、何よりもギャップがすごかったから。上田くんってただのヤンキーだよな〜〜（失礼）って思いながら適当な気分で見たタメ旅+で度肝ぬかれた……この人全然ヤンキーじゃない、寧ろかわいいと優しさの塊だって思い知らされたからだよ……。
— 愛🐻 (@aidayo__) January 3, 2020
数ヶ月前の自分に『2020年からKAT−TUNの上田くんをすきになるよ』って言っても絶対信じないくらいには、わたしの中で上田くんは異彩を放っていたしタイプじゃなかったんだよね……なのにこんなに惹かれちゃうなんて、上田くんってすごく魅力があるアイドルなんだとおもう
— 愛🐻 (@aidayo__) January 5, 2020
アカウントを作ってからは、心優しい上田担の方々が、おすすめの円盤や見るべきドラマなどを丁寧に教えてくださり、少しずつ自分の知らなかった上田くんのことがわかってきた。
ピアノが弾けること。
ポメラニアンを飼っていること。
美少女と見間違えるくらいかわいい甘栗時代があったこと。
見た目は厳ついけど歌声はすごくあまいこと。
何本ものドラマや舞台に出演するほど演技が上手なこと。
性格が少年ジャンプみたいに熱いこと。
だけどこんなのは序章に過ぎなくて、きっとまだまだわたしの知らない上田くんがいるんだろうな。その度にギャップにやられて、更に好きになっちゃうんだろうな。
いいです、上田くん、もっとわたしを夢中にさせてよ。
いつかわたしのことも クソ野郎共 って呼んでよ。
今はいつかそう呼んでもらえるように、上田くんのこともっと勉強するから。
だから今は上田くんが出演していたドラマを見たり、過去のCDや円盤を狩ることに集中するけど、それが一段落したらKAT-TUNのFCに入ろう。
最後に、ジャニヲタになったばかりの頃のわたしへ。
あなたはキラキラした王子様みたいな王道アイドルよりも、無駄な布を腰で揺らしド派手な演出でドームを燃やす、ギラギラしていて治安の悪いアイドルが好きでしたね。
“平成を彩ったジャニーズのヤンキー” と言われたKis-My-Ft2が、そして玉森裕太くんのことがだいすきでしたね。
だけどその当時から、口癖のように
あ〜〜〜〜〜KAT-TUNのライブに行きたい。いつか絶対行きたい。KAT-TUNのライブに行くまで死ねない。
そう言っていましたね。ド派手な演出が大好物だったあなたは、Kis-My-Ft2の演出ももちろん好きだったけど、ジャニーズの中でも次元が違うレベルで凄い演出をすると言われていたKAT-TUNのライブに興味津々でしたね。
でも、自分の周りにKAT-TUNのファンの友人なんて1人もいないから同行させてもらうこともできない。かといって、自分がKAT-TUNの誰かにハマるはずもない、特に上田なんて論外だし……なんて言っていましたね。
数年後、本当に信じられないと思うけど、あなたは上田くんに夢中になります。KAT-TUNのファンになります。
きっとあと少しで、数年来の夢が叶うよ。よかったね。
もし近い未来でKAT-TUNのライブに行ける日が来たなら、わたしが全力で楽しんであげます。
だから安心してください。
そして最後に、ひとつだけお願いがあります。
テレビで上田くんを見かける度に、上田くんのことを無理だとか苦手だとか…そんなふうに悪く言わないであげてください。
数年後の、あなたの大切な自担だから。
